こなさんみんばんわ。
2026 年がやってくるまでに 2025 年を振り返っておくシリーズの第二弾は 2 月の末に購入したモニタースピーカー、ADAM Audio D3V の話です。開封する時から色々と写真だけは撮り、下書きにメモなども残しつつ「いつでも書けるで!」と準備だけは整えてたのですが、気が付いたらなぜか 10 ヶ月が過ぎ去っておりました😱
このまま放っておこうかとも思いましたが、なんせ自分史上初めて自宅スタジオ(訳注: 部屋)に導入した、ちゃんとしたまともなモニタースピーカー。これまでとの違いなどで驚くこと感動することなど色々ありましたので、やっぱり真面目に記録を残しておこう…と思うのでございます。
そんな訳で、今さらではございますがお付き合いくださいませ。涙
購入に至るまで
モニタースピーカーは欲しいが、希望を満たすものがねえ…

これまでは、普通に音楽聴くのには 20 年くらい前に買った古い Bose のオーディオセット、制作とかその辺をやる時にはヘッドフォンでモニターという感じの生活でした。ちゃんとしたモニタースピーカーが欲しいとはずっと思ってたのですが、希望する条件を満たすものがけっこう見つからないんですよね…その条件を並べてみますと、
- お手頃な価格であること
- ペアで 5 万円までが理想というか限度…それより高価なものは買えない、ていうかそれ以前にこの部屋には不釣り合い 涙
- かといってあまりにも安っぽいのもイヤ
- 「これならヘッドフォンの方がマシや」とはなりたくはないので、音的にはそこそこ定評があるものがいい
- コンパクトであること
- デスクの上・PC ディスプレイの左右に置けるサイズでないとつらい、最大でも横幅 20cm が限界、できれば 15cm 前後
- パワードであること
- スピーカーとの相性を気にしなくていいし、なにより外付けのパワーアンプなどこの部屋に置くスペースはない
- 背面バスレフ型ではないこと
- デスク上への設置となるとどうしても壁に近づけて置かざるを得ないので、フロントバスレフ型や密閉型がいいのかなと
- ボリューム調整機構が前面にあること
- 再調整が必要となった時に、上げ下げのためにいちいち後ろに回ったりのぞき込んでゴソゴソ…というのはやりたくない
という感じ。上の 4 つを満たすものは数多くありますが、その中で下 2 つも同時に満たすものがなかなかないのです。候補として検討した中だと、たとえば Presonus Eris シリーズや YAMAHA MSP3A は前面にボリュームがあるけど背面バスレフだし、逆に Tannoy Reveal シリーズや(ぶっちゃけ直接的な競合対象だと思われる)IK Multimedia iLoud Micro Monitor は前面バスレフだけどボリュームが背面です。
そんな感じで色々考えると、ちょっとどれを選んでも何かに不満を感じそうやなぁ…といった状況がかなり長く続きまして、なかなか購入に踏み切るまでには至りませんでした。
D3V、それはすべての希望を満たすモニタースピーカー…

そこへ華々しく、彗星のように登場したのが ADAM Audio D3V です。細かい仕様についてはオフィシャルの情報をご覧いただければいいので割愛しますが、
- プロ用スタジオモニターとして実績と信頼のある独 ADAM Audio 社製、出音が悪い訳がない
- なのにお値段 43,000 円と、貧乏人にも手が届くお財布に優しい価格
- 横幅 12cm 弱の超コンパクト設計、置き場所に困ろうにも困りようがない
- バスレフではなくパッシブラジエーター仕様、かつスピーカー側面にあるので背面への影響を心配しなくてよい
- ボリュームは片側スピーカの前面にひとつだけ、調整は左右同時にできるのでバランスを気にする必要がない
- もちろんパワードモニター
と、ちょっと順番は前後しておりますが、前のセクションで挙げた 6 項目を見事にクリアしているのがお分かりいただけるんじゃないかと思います。
ツイーターは ADAM お得意のリボンツイーター(D-ART AMT ツイーター)ですし、最近のパワードモニターには普通に付いている、ルームアコースティックに合わせて音響特性を調整するためのスイッチもあります。Bluetooth オーディオ機能は付いてませんが、ここでは基本 Mac mini に繋がってるミキサー兼オーディオ IF の Allen & Heath ZEDi-10(過去記事参照)から音を出すので、macOS の AirPlay レシーバー機能を使えば同じことはできますから気にはなりません(個人の感想です)。
とにかく、存在を知った瞬間から「これは買いや! オレにとって今あるモニタースピーカーの中ではこれがベストの選択や!」となったのを覚えています…実際にはここまでアツく興奮してはないですが🤣 もう買うのは心に決めてて、あとは色々な条件が揃えば購入するだけ! という感じ。
で、その時期が 2 月末にやってきた気がしたので購入したのであります。購入先はおなじみサウンドハウスさん。4,600 ポイント使って 38,400 円をペイディで 3,200 円 × 12 回のあと払いにしておきました。ペイディは分割にしても手数料かからないのがいいですね。無理のない範囲内でなるべく活用するようにしています。ご利用は計画的に。涙
購入してからセッティングまで

そんな訳で 2 月 21 日に注文して翌日くらいに届きましたが、その頃はバンドの動画撮影とかがあって忙しかったのでしばらく開封できず。3 月に入ってようやく設置に入れました。
開封していく

段ボール箱を開けると化粧箱が出てきます。黄色いです。

化粧箱を開けます。上段には書類と電源にケーブル類があり、それを外すとスピーカー本体と、見えてないけど確かこの下か手前側にはスタンドが入ってたかと思います。
セット内容の確認

とりあえず全部並べてみました。
前列は左から順に、電源アダプターとそのケーブルが 2 つ、左右のスピーカーをつなぐリンク・ケーブル、USB Type-C ケーブル(C to A の変換アダプター付き)、机上などに直置きする場合にスピーカー底面に貼り付けるパッドが 6 ヶ、英文のマニュアル類。
後列は…まぁ見れば分かるとは思いますが🤣 モニタースピーカー本体と、スピーカーを耳に向けて(傾斜を付けて)設置ができる、専用のモニタースタンドです。
とりあえずセッティングする

内容に欠損がないのを確認したところで、さっそくセッティングに入ります。とりあえずはモニタースタンドを使って設置し、あと購入時点でファームウェアのアップデートが出ているとのことだったので、アップデートを行うためにまずは USB ケーブルで接続することにしました。YouTube で適当な動画を再生してみると音は出てきたので、接続に問題はなさそうですね。
ちなみに基本的にはオーディオ入力端子とボリューム・ノブがある方が左側という初期設定なのですが、ここはノブの操作で左右のチャンネルを入れ替えられるようになっていますので、機材の配置の関係でオーディオ入力がある側を右に置きたい! という場合でも大丈夫です。
ファームウェア・アップデートで二度手間る
で、ファームウェアのアップデート手順は…と思って日本語マニュアルを読むと、ボリューム・ノブを押しながら電源アダプターに接続された電源ケーブルを電源コンセントに接続
という、なかなかテクニックが必要そうな手順が書いてあることに、全部セッティングした後で気が付きます😅
電源はラックに入ってるパワーコンディショナーから取ることにしたので、すでにラックをひっぱり出して後ろに回って…みたいな作業をした後。しかも前面にあるスイッチに連動しない方のコンセントにつないでしまってたので、このままではコンセントにつなぐ代わりにスイッチで操作するというワザも使えんやないですか!!😭
仕方ないのでもう一度ラックをひっぱり出して、連動する側のコンセントにつなぎ直してまたラックを戻して…という二度手間になってしまいました。まぁその後無事にアップデートは終えましたが、その時の気分です👇
という訳で、みなさんはこのようなことがないよう、最初の段階では手元に近いコンセントにつないだ方がいいと思います。涙
ボリューム位置を調整する(モニター側 or ミキサー側?)
ファームウェアのアップデートが終わったので、実際に使用する方法、つまりアナログ接続に変更をします。ZEDi-10 はバランスでもアンバランスでも出せるのですが、D3V との距離がそれほど離れてないのでアンバランス接続でも問題ないだろうと判断しました。XLR 出力を他の用途に使いたかったというのもあります。

で、ボリューム位置の調整ですが、これについてはマニュアルに具体的な調整手順が書かれているので、その通りにやればいいと思います。簡単に書くとこんな感じ:
- コントロールに使いたい側のボリュームを最大にする
- もう一方のボリュームを最小にする
- この状態で低域が多くて音量の大きな音源を再生する
- D3V のリミッターが作動(LED が赤く点滅)するまで 2. の側のボリュームを徐々に上げていく
- リミッターが作動した時点で(耳がやられないよう)即音源の再生を止めること
- これが最大ボリュームの状態なので、2. の側はこの時点のボリュームで固定
- あとは常に 1. の側でボリューム調整を行えば、最小から最大までフルで使える状態になっている
ちなみにウチの機材の場合でいうと、D3V と ZEDi-10 のボリュームをどちらも最大にした時点でリミッターが点滅しました(けっこうな入力に耐えられるようです)。なのでどちら側でコントロールするにしても、基本は反対側のボリュームを最大にしておけば問題ない感じですね。
そんな訳で ZEDi-10 側のモニター出力レベルを最大で固定し、手元に近い D3V の方でボリュームを調整しております。
ルーム補正 EQ で音響特性を補正

最後に背面にある 3 つのルーム補正 EQ のスイッチを、部屋の状態に合わせて調整していきます。背面に向かって左から順に次のようになっています。
- POSITION
- 壁からの距離。STAND, WALL, CORNER の 3 ポジション
- DESK
- モニター前のデスクの大きさ。NONE, SMALL, LARGE の 3 ポジション
- ROOM
- 壁に吸音材などを配置しているかどうか。TREATED, MODERATE, UNTREATED の 3 ポジション
マニュアルにも図解で「こういう状態ならこう」というイメージも書いてありますし、言葉の意味が分かれば迷わないと思いますが、もっと単純にグライコのようなもんだと思っておけばいいと思います。つまり左から順に低域・中域・高域で、上にやればその周波数成分が増え、下にすれば減るといったイメージですね。
環境は人それぞれなのでそのまま参考にはならないでしょうが、ウチはこんな感じになりました:
- 背面は壁に近いけど側面はそうでもないので POSITION は WALL
- 机上に置いてて天板も大きめなので DESK は LARGE
- 吸音とかは何もしてないので ROOM は UNTREATED
では音を聴いてみましょう
セッティングも終わりましたので、いよいよ音を聴いていきます。macOS のミュージックアプリを使って、手元の CD を Apple Loseless でリッピングした音源の中から、適当なものを選んで再生してみました。
なおここからはほぼ個人の感想となりますが、率直な感想なのでご容赦ください。
まさに「モニタースピーカー」というフラットな出音
アコースティックなジャズからエレクトロニックなダンス系までさまざまな音源を鳴らしてみましたが、どれを聴いてもローエンドからハイエンドまでレンジが広く、まさに「ああ、モニタースピーカーやな」という感じのとてもフラットな出音です。レンジの狭さや中域の出っ張り、派手なドンシャリ感などもなく、とても自然な印象を感じます。

普段モニター用に使っているヘッドフォン、AKG K240 Studio と聴き比べてもみましたが、ほとんど差を感じない…ていうか、ほぼヘッドフォンで聴くのと同じ音が出てきます🤣 K240 Studio も割とフラットでクセの少ないヘッドフォンですが、それと聴き比べても遜色のないクセのなさではないかと思います。
フラットであるというのは、リスニング用としてはちょっと味気なく感じるかもしれませんが、こと音楽制作用のモニタースピーカーにとってはとても大事なことですからね。このあたりは「このサイズのスピーカーでも一切妥協せんぞ!」という、ADAM Audio の気概みたいなものを感じます。
ローエンドもあくまでも自然で「作られた低音」ではない

普段のリスニング用に使っている Bose のオーディオセットとも比較してみます。このセットはサブウーファーが含まれていることからも分かるとおり、それこそこのサイズからは想像できない、重圧な低音域が再生されます。クラブ系の音楽を聴いたり、映画を観るのにも気持ちよく使えます。
ですが、こうやって比較して聴いてみると、やっぱりどこか作られた低音というか、無理やり出してる感を受けてしまいます。あとバランスもちょっと高域が下がり気味というか、たとえばジャズでいうとサックスのブレス感、ポップスでいうとシンセのキラキラ感あたりが、D3V と比較すると若干失われてる感じがありました。
いままではこれでも「ええ音や」と思って聴いてましたが、普通にクセのあるスピーカーだったんですね。まぁ Bose やしな! といえばそれまでですが🤣

それに対して D3V は、確かにパッシブラジエータの効果もあってかなりのローエンドまで再生してくれますが、僕が聴いた限りそのローエンドはあくまでも自然な低域方向への伸びであり、単純にそのレンジの広いフラットな再生感に貢献している要因のひとつに過ぎない…という印象です。
D3V について書かれた色々なレビューを読むと「このサイズとは思えない低音域が出る」と書かれているので、どんなものかと期待される方もいるかと思いますが、こういったレビューから短絡的にクラブのような重低音を想像して購入してしまうと、恐らく「だまされた!」と感じると思います😅
なので、そういった方向のスピーカーが欲しいのであれば、他を探した方が賢明ですね。D3V はあくまでもさまざまな音楽制作用途に対応できる、フラットなモニタースピーカーという認識でいるのが一番いいと思います。
ハイレゾ再生には対応してないので注意が必要
これはカタログスペックからは読み取れませんが、FAQ に記載があります。D3V の内部 DSP のサンプリング周波数は 48KHz で、量子化ビット数はアナログ入力の場合で 24bit、USB の場合は 16bit です。これは USB オーディオ入力が 48KHz/16bit で処理されるのはもちろん、アナログ入力の場合でも(ルーム補正 EQ を通すために)48KHz/24bit で一度 AD 変換され、EQ を経由したのちに再度 DA 変換される、ということを意味します。
つまり D3V は USB でもアナログでも、ハイレゾ再生には対応してないよ!ということです。いくらいい DA コンバーターを積んだハイレゾ対応のオーディオ IF を使ってアナログ入力をしても、内部処理のために必ず 48KHz/24bit に変換されるので、少なくともスピーカーで聴くという部分についてはあまり意味がない訳です。
残念ではありますが、さすがに 96KHz や 192KHz に対応した DSP を積んでしまうとこの価格では出せなかったのだろうと思いますので、ここはもうトレードオフというか、仕方のない部分だと思うしかないですね。モニターが対応してなければ音楽制作自体も 48KHz でやらなければいけないという訳ではないですし、忠実度が必要であればヘッドフォンモニターで対応すればいいでしょう。いやオレにはどうしてもハイレゾ再生が必要? なら、もっといいモニターを買うしか方法はないですね。涙
はい、こんなところです。
まとめ: ADAM Audio D3V はこんなモニタースピーカー
- プロ用スタジオモニターの世界では実績のある独 ADAM Audio 社による、コンパクトな低価格のモニタースピーカーです
- セッティングや操作方法に特に難しいところはありませんが、ファームウェアのアップデート手順については少し要領がいります
- 音質はローエンドからハイエンドまでレンジが広く、スタジオ用モニタースピーカーらしいとてもフラットな出音だと思います
- 各種レビューで書かれる低音域については自然な下方向への伸びという感じで、決してクラブのような重低音が出る訳ではないのでご注意ください
- DSP の制限もあってハイレゾ再生には対応していないので、どうしてもハイレゾ音源をハイレゾのままで聴きたい場合は他を当たりましょう
そんな訳で
今回は 2 月末に購入した、自分史上初のまともな音楽制作用モニタースピーカーである ADAM Audio D3V について、その特徴やセッティングの手順、音質的な傾向や感想、注意点などについて、レビュー的にまとめてみました。D3V 購入を考えている方への手助けになれましたら幸いです。
総合すると、この価格帯で買えるものとしてはとても優秀なモニタースピーカーだと思いますので、ハイレゾ再生非対応に目をつむれるのであれば、制作用としては十分に買いだと思いますね。
ちなみに購入する場合、よほどあくどい店でもない限り🤣 今のところはどこで買っても 43,000 円のようですから、各ショップのポイントやクーポンなども考慮に入れつつ、一番得するところで買えばいいと思います。この記事でも上の方にはサウンドハウス、この下には Amazon の広告リンクを貼っておりますので、よろしければご利用ください。
以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。