こなさんみんばんわ。
これは Jeffrey Francesco Advent Calendar 2024 19 日目の記事ずら。

ていうか今振り返ってみて気が付いたんやけど俺「たい」2 回使ってるやん、しかも最初の方でいきなりやん、くっそしくじった。

…別にどうでもいいですかそうですかまぁそうですよね😭

まぁ余談はさておき本題ですが、こうやって振り返ってみますと木曜日はずっと音楽アプリの話をしていますので、今週もそれを引き継いでみようと思うんですが、今回はちょっと趣向を変えまして、単に音楽を聴くだけのアプリではなく、ミュージシャンとして曲の練習や譜面起こしなどをする場合に使う音楽アプリの話をしようと思います。

楽器の練習などに使う音楽アプリに求められるもの

プロアマ限らず、ミュージシャンが曲の練習やトランスクリプション、譜面起こしなどをする場合に使う音楽アプリに求められるものといえば、だいたい次のような感じじゃないかと思います。

  • ピッチやキーを変えずに曲のテンポを上げ下げできる機能
  • 逆にテンポを変えずに曲のピッチやキーを上げ下げ(トランスポーズ)する機能
  • 特定の範囲を繰り返し再生(リピート)する機能
  • あるとなおよい 👉 特定の楽器を強調したり、逆にマイナスできる機能(イコライザーやヴォーカル・キャンセル etc.)

で、僕も当然ながらそういったアプリは色々と探していくつか使ってきました。歴代で使ってきたものを列挙しますと、

Stringed 2
Mac App Store で配布されている有料 macOS 用ソフト。上に挙げたような基本的な機能はすべて揃っているけど、再生できるのはファイルの形で所有している音楽ファイルのみ(だったはず)。
Amazing Slow Downer
有料ソフト。色々なプラットフォームのバージョンがあるが、僕が買ったのは iOS / iPadOS 版。現バージョンでは音楽ファイルだけでなく Apple Music で配信されている曲も再生できる(ただしピッチ変更は不可)。機能的にも不足はないけど、その UI はやや無骨。

の 2 つですね。オーディオ編集ソフトや DAW ソフトでやってみたりもしましたが、さすがに大げさだし不便すぎたので却下しました。涙

2024 年春、Moises を知り衝撃を受ける

そういったアプリを使ってきた中で、今年の春でしょうか。いつもの定例リモートリハをやってる中で最近のアプリはすごいよ! みたいな話になりまして。話を聞いてみると「AI で曲を解析してパートを分離してくれる」とかいうんですね。へーそりゃ便利だな、と思いました。

類似のアプリが色々あるということで、名前を教えてもらった中からいくつかダウンロードして試してみますと、どれも無料版ではドラム・ベース・ヴォーカル・その他くらいしか分けられないんだけど、本当にその辺についてはちゃんと分離してくれるんですよ。ふぉーこれはすごい、フルに使いこなせば色々捗りそうだな…ってなりましたね。

で、無料版だと 4 トラックだけど、料金を払うともっと分離するトラックを増やせるそうなんですね。とはいえ全部のアプリに料金払う訳にはいかんし、何かひとつに決めないと…となりまして、アプリの UI やテキスト表記(変な日本語はちょっと萎えるな、とか🤣)なども含めて検討してみた結果、総合的にバランスがよさそうに感じられた Moises にしよう! となりました。ネット上での評判もよさそうでしたし。

Moises はこんなアプリ

iPad 版 Moises のスクリーンショット。都合により曲名はマスクしています

という訳で、まずは Moises について簡単に。このスクリーンショットは iPad 版のものですが、他に iOS 版・Android 版・Web アプリ版・デスクトップアプリ版があり、ほぼすべてのプラットフォームで使用できます(ただし Web とデスクトップは他のと UI やできることがやや違います)。

メインの機能は先ほど書いたとおりで、音楽ファイルをアップロードするとクラウド上で AI が曲を解析して、指定したとおりにトラックを分離してくれるんですが、それに加えて曲のキーやテンポ、コード進行、セクション(どこまでが A メロでどこからがサビ、とか)まで分析して教えてくれるんですよ。すごくない?

そして解析した後は、分離したトラックをそれぞれ別々にミュートしたり音量やパンを変更できるのはもちろん、テンポやキーを変えてみたり、セクションごとにリピートするなど、思いのままに再生ができます。分析したコードは再生に合わせてリアルタイムで表示が追従していきますし、スマートメトロノームという曲のテンポ揺れにもしっかり対応してくれるメトロノームや、任意のカウントインを入れてくれる機能もあり、このあたりは曲の練習などに嬉しい機能ですね。

分離できるトラックの数は無料版では 4 トラック、料金を払って Premium や Pro になると 6 トラックまで(いずれも「その他」を含む)増やすことができます。それも例えばギターを分離するのにもリードギターとサイドギターで分けたり、ヴォーカルをリードとバック・ヴォーカルで分けられるような設定があったりして、かゆいところに手が届く感じになっているなぁと思いますね。ただ、それらの組み合わせにはいくつか制限があって、完全に自分の思ったとおりには分離できないところは注意が必要です。

あとその他の機能としては Voice Studio やマスタリング、DAW と連携して使うための VST プラグインなどがあるんですが、その辺はどうやら Pro 版の機能らしく(ちょっと詳細不明なのですが)、使ったことなくてちょっと分からないので割愛😅

Moises のおかげで便利になったところ

そんな訳で僕はこの Moises をちょっと試して、これめっちゃ便利かも! となりましたので、さっそく年間 7,000 円(が、キャンペーン価格で 4,900 円でした😅)のサブスクリプションを払って Premium プランに登録してここまで使ってきましたが、おかげで今年の音楽活動はめっちゃ捗ったなぁ! と感じております。以下にどのあたりでそのように感じたのかを書いていきます。

曲練習が捗る

音源をアップロードするだけであっという間に楽器ごとにトラックを分離してくれますから、自分の演奏パートだけミュートをすればいわゆるマイナスワンが簡単に作れます。あとは速いフレーズをテンポを落として練習する、セクションごとにリピート再生して集中的に練習する etc. 色々なことが考えられますね。単純にメトロノームに合わせて練習するよりはよっぽど楽しくやれます(あっいや単純にメトロノームに合わせてする練習ももちろん大事ですよ!?😅)

トランスクリプションが捗る

誰かのソロをコピーして分析するようなことも Moises のおかげでより簡単になりました。分析したいパートだけソロで再生すれば、あーこの部分他の楽器がカブっててよく分からん…みたいな、ただミックスされた音源を聴くだけではありがちだったことをかなり削減できます。コード進行が見えるのも、あーこのコードでこのスケールを弾いてるんだな、というのを理解するうえですごく役に立ちますね。

譜面起こしが捗る

曲の譜面がないので自力で起こさないといけないのはよくあることですが、そういった作業も楽になりましたね。特にパート譜を起こす作業は Moises のおかげでめちゃくちゃ労力が減ったと思います。ストリングスパートをコピーしてキーボードで再現できるようにアレンジする作業を今年はけっこうやりましたが、こんなの昔ならやろうという気にさえならんかったと思うんですよね…😅

かといって完璧ではない、Moises のまだまだ不満なところ

まぁこんな感じでかなり便利に使っている Moises ですが、まだまだ完璧なアプリという訳でもなく、やっぱり不満というか精度がまだまだだなぁ…と感じる部分はあります。

例えばトラック分離でいうと、基本のドラムやベース、ヴォーカルなどはほぼ完全に分離してくれる感じですが、それ以外の楽器についてはそこまで完璧に分離してくれる訳ではない。まぁこれは音域的に重なってる部分も多いので致し方ないのかなぁという感じはしますが、もうちょっとよくなってほしいな、という期待はしてしまいますよね。

他、セクションなんかは「いやなんでそんなところで切るん…」みたいなところで切られたりします。しかもこれ後から使ってる人が位置を変更したりできないんですよね…なので、変なところで切られたらずっとその状態のままで我慢しないといけない。これは正直、リピート練習のときにちょっと困ることがあります。

コード分析でもちょくちょく「え、そんな解釈するんや…」と思うようなコードを出してきますが、これは自分で頭の中で解釈を変えればいいだけなので、僕はそんな気にならないですかね。まぁとりあえず、全部信じて鵜呑みにはしない方がいいかと思います。

あと機能的な部分でいうと、Web アプリ・デスクトップ版とその他のもので UI やできることがちょっと違うのは困りますね。例えば iPadOS 版はセクションを複数選択してリピートができるんですが、デスクトップ版では一度に 1 つのセクションしかリピートできないんです。あとデスクトップ版ではコードと一緒にギターのコードダイアグラムが出てくるのに iPad 版では出ないとか。画面の小さいスマホ版では難しいとしても、せめてこのあたりの挙動は合わせていただきたいところではあります。

まぁそんな部分もありますが、この辺はバージョンが上がるにつれて改善もされていくだろう(というのを期待してます)し、今のままでも十分に使えるアプリだということは間違いないです。

そんな訳で

本日は AI で曲を解析して楽器ごとに分離したトラックを作成してくれるアプリ Moises についてと、これのおかげで僕の音楽活動がめちゃくちゃ捗るようになったよ! という話を書いてみました。

とりあえず多少の不満点はありますが、それを差し引いてもミュージシャンが音楽活動をする上でとても役に立つアプリであることは間違いないです。年間サブスクリプション料金は Premium で 7,000 円、Pro だと 45,000 円するんですが、どちらもしっかり内容に見合った価格だと感じますので、これだけの料金を払ってでも上級機能を使うその価値は十分にあると思っております。

先日 12 月 10 日には Apple が選ぶ iPad App of the Year 2024 に選出されたというリリースがありました(ワーパチパチ)それくらい誰もが評価している優れたアプリでもあります。興味が湧いた方はとりあえず無料版からでもいいので、ぜひ一度使っていただければと思います。きっと課金したくなるから、いやまじで